今回は虫歯ができてしまった場合の治療について説明していきます。

虫歯を歯医者さんで治してもらった事がある方は非常に多いと思いますが、歯医者さんで虫歯を治してもらった状態とはどういう事なのでしょうか？

「風邪が治った」や「骨折が治った」ように完治した状態とは違います。

一般的に虫歯が治った状態というのは虫歯を除去して人工物によって元の歯の形に近づけた状態を指します。

残念ながら虫歯で溶けてしまった歯は二度と元には戻りません。虫歯治療の基本的なゴールは虫歯をしっかりと除去し、虫歯の再発が起きないような状態にすることです。

しかし、虫歯の再発と治療を繰り返すと元の歯はどんどん少なくなり、ある時歯が割れてしまったり、再治療が出来ない位元の歯が少なくなってしまい抜歯となってしまうのです。

個人差はありますが、1本の健康な歯に対して平均で6回治療を行うと抜歯になってしまうとも言われています。虫歯の治療後はいかに再発させないかがポイントと言うことです。

ここで虫歯の治療法をいくつか紹介します。

 

 

1.CR（コンポジットレジン）修復

虫歯を除去して歯にできた穴に詰める白い樹脂の詰め物です。お口の中で適切な形を作った後、特殊な光を当てることで固まる性質を持っています。小さな虫歯では最近はほとんどこの治療法を選択する事が多いです。しっかりと歯と接着していれば虫歯の再発はしにくいですが、樹脂は汚れが付きやすいので注意が必要です。基本的には保険適応の範囲の治療になります。

2.インレー

歯が部分的になくなってしまったところに入れる金属の詰め物です。歯を適切な形に整える必要があるため、健康な歯の部分を削らなくてはいけませんが、お口の外で詰め物を作ることができるため複雑な形にも対応できます。インレーは数種類の材質から選ぶ事ができます。

（1）銀歯（メタルインレー）

銀歯は保険適応で作る事ができます。見た目は目立ちますが、強度があるためインレー自体が欠けることはほとんどありません。しかし銀歯は熱で大きさが変わったり、たわんで変形を起こしたり、経年的に腐食を起こすため虫歯の再発リスクが高くなるため注意が必要です。平均で5年程度で再治療が必要になると言われています。また金属アレルギーの原因になる可能性もあります。

（2）金歯（ゴールドインレー）

金歯は保険適応外です。銀歯同様見た目は目立ちますが、金が多く含まれているため、劣化しにくいという特徴があります。また金は程よい柔らかさを持っているので歯に馴染むことで虫歯の再発を抑えます。

（3）セラミックインレー

セラミックは保険適応外です。自然な歯と同じような色で修復できます。陶器と同じような性質を持つため、陶器や歯と同じように強い力がかかると欠けることがあります。セラミックは汚れがつきにくく熱による大きさの変化もほとんどなく、たわみもほぼないため虫歯の再発を抑えることができます。

（4）CAD/CAMインレー

保険適応の治療法です。ハイブリッドレジンと言われるブロックを機械が削り出して作る詰め物です。色はある程度歯に近い色で修復できます。やはり欠けるリスクがあるのと、汚れも付きやすく経年的に変色や劣化があるため虫歯の再発には注意が必要です。

 

今回は初期から中等度の虫歯などで歯が部分的になくなってしまった場合に多く用いられる治療法を紹介しました。

虫歯になってしまって詰め物が必要になった際はなるべく虫歯の再発が少ない材料の方が歯は長持ちします。

詰め物をした歯の虫歯の再発はレントゲンの検査をしないと気づけないことも多いので、「以前に治療した歯があるけど最近は歯医者さんに行けていないな」と言う方は歯医者さんで検査をして虫歯がないかチェックしてもらいましょう。

どんなにいい材料を使って治した歯よりも健康な歯が一番虫歯になりにくいです。