『食後すぐに歯ブラシをすると歯が削れるから歯磨きしないほうがいい』という話がありますが、これは本当でしょうか?
答えは『食後すぐに歯ブラシをしても問題ないし、早めに歯ブラシした方がいい』です。
今回はお口の中のpHについて解説していきます。
虫歯菌は誰でも必ずお口の中に存在していて、食事をして糖がお口の中に入ると虫歯菌が糖を餌にして酸を出します。この酸が原因で歯が溶けます(脱灰)。
その後、唾液の働きで酸を中和して中性に戻され溶けた歯は再石灰化されます(緩衝作用)。
脱灰と再石灰化は毎日皆さんの歯の表面で繰り返されます。
脱灰に再石灰化が追いつかなくなってしまった場合に虫歯になってしまうのです。
図で示しているように食事の後に酸性になっている時間が短い方が虫歯になりにくいということです。具体的にはpHが5.5より低くなると歯は溶け始めます。
なので食後は早めにフッ素入りの歯磨き粉を使ってお口の中を中性にした方が虫歯になりにくいと言えます。(フッ素1450ppmの歯磨き粉を使った直後はpHが5程度でも再石灰化するので歯が10倍溶けにくくなります。)
日本小児歯科学会でも食後すぐに歯磨きをして脱灰を防ぐことを推奨しています。
なるべく食後には歯磨きをして酸性になっている時間を減らすというのが虫歯予防の1つのポイントです。
理想的には毎食後の歯ブラシが良いですが、虫歯予防に関して言えば歯ブラシを1日2回と3回では虫歯の発生に差は出ないとも言われているので最低でも2回は丁寧に歯磨きするといいですね。
しかし、いくら歯ブラシを頑張っても上の図のように間食が多いと酸性になっている時間が長くなるので危険です。虫歯は砂糖の量よりも摂取回数が多い方がリスクが高くなります。つまり、だらだら食いが最も良くないということです。甘い飴をずっと舐めているなんていう方は虫歯のハイリスクと言えます。
食事やおやつは時間を決めて1回程度にして食後には丁寧に歯磨きをするといいですね。
※早食いを推奨している訳ではありません。よく噛んで食事を摂りましょう。
次に歯を溶かしやすい食品について説明します。
当たり前ですが、pHが低い(酸性)食品は歯を溶かしやすいです。
日常的に酸性の食品を摂取し続けると、食品そのものの酸で虫歯ではないのに歯が溶けてしまうこともあります(酸蝕症)。
レモン(pH2)、梅干し(pH2)、黒酢(pH3)、ビールやジュースなどの炭酸飲料(pH2〜4)などの酸性の食品を日常的に摂取している方は特に注意が必要です。また逆流性食道炎などによる胃酸で酸蝕症を起こす場合もあります。
甘い炭酸飲料(コーラやサイダーなど)では500mlのペットボトルに角砂糖10個以上の砂糖が含まれていて酸性の飲み物なので虫歯も酸蝕症も注意しなければいけません。
ノンシュガーのジュースは大丈夫?
ノンシュガーでも酸性であれば歯は溶けます。酸性のものを日常的に摂取していると虫歯菌は急激に増殖し、強い酸を出す菌の割合が増えます。
pH3.9のリン酸溶液で1日2回各1分間うがいを2週間続けた場合、虫歯菌が7倍に増えたという研究もあります。
最後に
酸性のものを摂取しても唾液による緩衝作用がありますので過度に神経質になる必要はありません。
美味しいものを食べるためのお口でもありますのでせっかくなら美味しく食べましょう。
ただ、正しい知識を身につけて少しだけ意識するだけであなたの虫歯は予防できるかもしれません。
この他にもお口の健康に関する情報を発信していますので当院のコラムをご覧になてみてください。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
午前 | ● | ● | ※ | ● | ● | ● | ─ |
午後 | ● | ● | ※ | ● | ● | ● | ─ |
午前:9:00~12:30
午後:14:00~18:30
休診日:日曜・水曜・祝日
※祝日がある週の水曜は診療しております。